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温熱環境における最適解

過日、EUへ温熱環境を本気で考える機会を頂きました。

昨今、建築の温熱環境や環境保全における企業や個々の活動が目にとまるようになりました。しかしなんとなく、各々の利潤のための活動としか目に映らず、その真意が見えなかったのが本音。「やらない善よりやる偽善」とは申しますが、そこにはしっかりと目的意識を持った着地点が欲しかった。

そんな折、同業で同志でもある「もるくす建築社」の佐藤氏からこのツアーに誘われました。彼は温熱に対しての知識や意識が大変に博学で明確で的確。断熱材はどうだの、換気はああだの、C値はQ値はいくつだののみの、形式や数値に捕らわれるのではなく、きちんと筋の通った温熱環境を構築する辺りに共感を覚えたのです。いままでも相談に載って頂いていたけれども、やはり自分の足で見て、感じ、考える時間がとても大切だと思うのです。

 

 

フィンランドに始まり、スイス、フランス、ドイツにオーストリアと、5カ国を巡業。現地の建築家作品を見学はもちろんの事、エネルギー問題における視察。建築家はアルヴァ・アアルト、ザハ・ハディド、安藤忠雄、ル・コルビュジェ、レンゾ・ピアノ、ズントー、カウフマンなどなど。環境問題については、環境ジャーナリストである「村上敦」さんを迎え、現地の環境問題における取り組み、再生可能エネルギー、地域暖房、脱原発とその先へ。更には現地建築家との交流もあり、ドイツの住宅供給事情についても学びました。

 

環境問題は異国の出来事などではなく、地球での出来事。地域性はもちろんあるけれど、各々の国における事情もあるけれど、今そこに迫る危機は同じ地球規模。それがたまたま温熱先進国であるドイツで学んできただけの事。ドイツが偉いのではなく、もはや当たり前の世界観にも思えるほどの衝撃を受けて参りました。技術面や細かい数字は正直理解し得ない範ちゅうではありますが、危機感は確実に覚えます。きっとそれが大切で、理屈はいずれにせよ「まずは出来る人が出来る事からやる」が大事。そして僕がそうであったように共感を呼び、活動が広まっていくのだと思うのです。

僕にとっての結果が建築における温熱環境へと昇華され、今後の建築人生における多大な影響を受けていく事でしょう。まだまだデザインも住環境も勉強の身ではあるけれど、またひとつ、温熱環境という課題を課せられた気がします。けれどそれは決して面倒なことではなく、喜んで、前向きに取り組みたいと素直に思える自分がいる。それは結果的に住まい手の利益に繋がり、心地よい住環境へと結びつくから、僕は素直に受け入れました。

断熱材、気密、換気に挙げられる性能はもちろんの事、日本固有の“環境と共生”したデザインとは何か。「閉じれば性能の開けた心地良さ」を模索して参ります。まずはやる事から始まり、試行錯誤を繰り返しながら、これからの、僕なりの温熱環境における最適解を模索する日々が始まります。

 

とはいえ、今までも温熱性能においてお叱りを受けた事はないのですけれどね(笑)