真岡市E様

庭との関係から生まれたくの字の形。

くの字の形をした平屋の住まいに暮らすEさん。いい土地をずっと探していたとき、雑草だらけで放置されていた畑を見つけ「ここならいいのに」と、地主さんを探しだし購入することにされたそうです。土地をまず飯田さんに見てもらうと「単純な形の土地なのでくの字にして庭との関係をよくしたい」という提案があったといいます。最初は、くの字で中庭を囲むようなプランも検討されましたが、玄関から入ったときの視線を考え、現状のプランが採用されました。「この形だと玄関からは台所が見えないんです」というように、単純になりがちなひとま空間がくの字にしたことでとてもいい落ち着く空間になっていました。

四季の移ろいを感じる住まい。

Eさんは、プランにあたり「予備室のような部屋が欲しい」というオーダーを飯田さんにされたそうですが、「納戸になるだけなので、やめたほうがいい」と諭されたそう。一方、作業台付きのキッチンや、床暖房など、あったほうがよいと思われるものは、そのまま採用されました。やみくもに施主の要望を取り入れるのでなく、プロとして正しい判断がなされていることがわかるエピソードです。庭に向かって全開口できる木製建具は、春夏秋冬の光と風をたくみに取り入れることができるよう、ガラス戸、障子、葦簀戸と複数のレイヤーで構成されています。「木々が芽吹く頃、窓をあけて過ごす時間が一番気持ちがいい」と奥様。「いやいや、真っ白い雪の庭も乙なもの」と旦那様。いずれにしても、春夏秋冬、季節の移ろいを感じながら暮らすことのできる家になったことは間違いないようです。

なにがあっても帰りたい、そう思える家。

引っ越して早々、Eさんの家は3.11の震災に見舞われましたが、大きな開口を設けているにもかかわらず掃き出し窓のクレセントが外れたくらいで被害はほとんどなく、その後も安心して住まうことができているのだそうです。「木のお風呂とかいいところはたくさんあるが、このボリューム感がいい」とおっしゃるEさんの言葉通り、開放感とカラダにフィットする感覚を両立させた空間がそこには実現されていました。「僕にとっては、何があっても帰りたい家なんです」というEさんにとって、この家は本当の意味での「すみか」になっているようでした。

取材:いい家づくりレポート 塚本浩史