2025.06.04
空気をデザイン|ヒロの日常
これまで「美しい佇まい」や「心地よい暮らし」を軸に、意匠設計に力を注いできました。
外と内のつながり、自然光の取り込み方、風が抜ける窓の配置、そうした感覚的な要素を大切にしながら、一棟一棟の住まいと向き合ってきました。
ですが、住まいの快適さを支えるもう一つの重要な要素、それが「空調計画」です。
これは単に「どこにエアコンをつけるか」といった配置の話ではなく、断熱、気密、熱移動、風の流れなど、空気がどう動くかを“設計”するという、とても繊細で奥深い分野です。
目には見えないけれど、住まい手の体に直接触れる部分であり、暮らしの質に大きく影響するものです。
正直に申し上げると、これまではその部分を「なんとなく良さそうな感覚」に頼ってしまっていた節がありました。
床下エアコンをはじめ、小屋裏エアコンや第一種換気など、全国工務店と情報共有をした上で新しい空調計画に取り組んで参りましたが、より高みを目指すべく2つの講座に参加することといたしました。
まず一つ目は、鳳建設 (岐阜県)の森さん主催の「ミライの住宅」。
こちらは、全国の建築実務者が集まり、空調設計の基礎から実務に直結する技術を学ぶ場です。
第一回目が5月末から始まりましたが隔週で10月末まで、長期にわたり技術を身に付けてきます。

二つ目は、空調を含めた設計全体の質を高めるべく、JIN建築工房(愛知県)の小森さんを空調設計アドバイザーとして迎え、確かな空調設計を身に付けております。
ご自身の設計でも空調計画を丁寧に組み込まれている方で、その知見や姿勢から学ぶことが多く、より実践に直結するものです。

これらの空調計画講座に参加するにあたり、最終的な目標が2つあります。
ひとつは、「空調計画に数値的な根拠をもち、かつ効果的な提案」ができるようになること。
そしてもうひとつは、「コモドらしい空調計画」をつくることです。
特に、コモドの家には造作の木製建具という特徴的な要素があります。
職人の手による建具は、経年変化を楽しめる素材感と、どこか懐かしい雰囲気をもたらしてくれます。
しかし一方で、木製建具は既成のサッシと比べ一般的に気密性が低く、外気流入の弱点となることがございます。
この「弱点」を「長所」に変えられないかと考え、わずかな隙間を通して空気を穏やかに流す方法を思考しております。
無理に風を送るのではなく、建具の“呼吸”を活かしながら、快適な室内環境をつくることができれば、より木製建具の役目が大きくなると考えます。
気密一辺倒ではない、もうひとつの快適さを届けられるよう今回の講座に挑んで参ります。
美しいだけでなく、快適で身体に負担が少なく、長く愛される家づくりへ。
引き続き、日々の試行錯誤や学びの記録もこのブログで綴っていく予定ですので、これからの活動にもご期待ください。
ヒロ 拝
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