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日々のことblog

2023.06.07

設計の構え方

とあるご縁から結ばれた「移住計画」に伴うご依頼をいただいております。
この建築地は訪問したことはございますが、住まう観点から意識したことはなく、旅行気分とはおよそかけ離れた印象となることが予想されました。
しかしながら旅館やホテルでは現実味がなく、おそらく住まうイメージを落とし込むことは困難なのでは?ということで、”仮住まい”という名のキャンプ?野営?をし、次の日にはいつもの作庭家(装景NOLAの長谷川さん)さんと合流。樹木の状態や作庭から見た土地の印象を伺いました。設計を行う際には当然のことながら土地との対話から始まりますが、設計前段階から作庭家さんに相談するのは初めてのこと。これが功を奏し、視点を変えたインスピレーションを受けることとなるのでした。

鳥のさえずりで朝5時に目覚めるほど自然豊か

さて敷地は道路面より1.5m程度窪んだ土地で、なんと小川が流れているという、設計者には垂涎の土地。
湿地で水分を多く含み、現状で通常通り建築するにはほぼ不可能という難題であるけれど、そこに終の住処とガレージを建築予定。はてさてどうするか…
それ以外の敷地条件は申し分なく、雑木は倒木を処分し、しかしながらあえてそれを残しつつ、自然の雑木ありのままで行こうと決意。長谷川さんが建築によって手を加えてしまった場所を元に戻すことが、今回の作庭の仕事だとおっしゃってくれたのが印象的。
ちなみに植っている樹種はアカシア、アオダモ、サンショウ、アオハダ、イボタ、山桜、イヌシデ、クルミ、ヤブラン、ムラサキシキブ、ヘーゼルナッツ、ウワミズザクラ、ホウノキ、もみじ、ダンコウバイ、マムシソウ、ミズキ、アカマツ、コナラ、ツリバナ、ガマズミ、カラマツ、ヤシャブシetc…だそうな。
野営して気付いた点のひとつに、川へ水浴びをしにくる鳥の飛来が多く、実がなる頃には更に飛んでくることが予想されます。そんな鳥たちが種を運んでくるのだと実感してしまうと、人間がこの土地に手を加えることはナンセンスと気付かされます。

工事面では難航することが軽く予想でき、見えない経費が恐ろしい。。。
慎重な計画が求められることでしょう。
建築に伴う重機の搬入から始まり、湿地に対する基礎の在り方が一番の問題点。ラフターと呼ばれるクレーン車の設置位置…そもそも入れるのか?と、問題山積み。
これまた作庭家さんの意見ですが、通常通りのベタ基礎で基礎を作ってしまうと、水の流れが止まってしまい、土が腐って森が死ぬ恐れがあるとのこと。それならば通常地中に埋まる杭基礎を地面から表しにし、高床式としてその上に基礎となるステージを設けてはどうか。湿気対策にも適した現状案ですけれど、そもそも基礎の型枠はどう組めば良いか、そのための重機搬入経路、構造計算などなど、まずは建築予定地の地盤調査が優先…その機械はどう搬入する?あぁ〜どうしましょう。
それに加えて段差処理もありますから、大変入念な計画が要されます。

今回設計にはまだ着手しておりませんが、配置のイメージは確定したかと思います。
まずは車の出入りと長いアプローチの処理が肝となり、安全面を考慮しつつも湿地帯をどう楽しめるか。また川との繋げ方や結び付けが住まいを豊かにするのだと思います。
常日頃から当然のように外部と内部の取り込み方には気を配っている方だと自負はございますが、この敷地環境においては今までのどれよりも強く、そして逆に破綻に追い込まれるのではないかと感じさせるほどの土地のエネルギーを感じました。

湿地でペグが刺せないためこの日のために新調したソロキャン用テント
もうちょっと整然としてから撮ればよかったと今更ながら後悔…

キャンプについても少々触れてみましょう。
父の影響で始めたキャンプは20年ほど経験し、そこそこキャンパーと呼べる程度かなと。凝り性な私は当然のことながら道具フェチ。そんな道具をソロキャン用に選別し、また敷地条件にあったチョイスをするのですが、これがまた楽しかったりします。
まずは野営する場所を探すのですが、湿地ですし、木は生い茂ってるし、設計のためのイメージが湧く場所で張りたいしで、設営場所決断にはだいぶ時間を要してしまいました。結果的には場所のチョイスはうまくなかったと反省。。。
食事はソロですからつまみ中心で簡素に、しかしワインは泡と白と赤でちゃんとラインナップ笑
夜は当然のことながら真っ暗闇、なんの動物かわからない鳴き声があちこちから聞こえ、若干の恐怖を覚えましたが、それでもなんとか一晩無事に過ごし、熊さんに遭遇することもなく、朝は鳥の囀りが目覚まし時計。そんなこんなで無事に帰社いたしました。

キャンプといえばこれ!
ですがご近所さまから焚き火禁止とご指導いただきあえなく消化(心も鎮火)
地元野菜とスモークサーモンにオリーブと塩胡椒のみとオシャンに
ソロキャンは料理はあまりせずほぼおつまみ中心
ビールに始まり泡・白・赤とフルコース
おかげで夜中の聞いたこともない動物の声にも聞こえないふりができました笑

一晩過ごした結果「土地に逆らわず倣うこと」を教わりました。建築予定地で野営なんぞ初めての経験ではございましたが、大変大きな学びを得て、設計に挑む姿勢が整ったように感じます。これからの案件も…と行きたいところではございますが、住宅街では流石に不審者かなと。
また機会がございましたら野営に挑戦してみたいと思います。

飯田拝

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住所|栃木県宇都宮市上桑島町1465-41
TEL|028-689-9560
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