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住まい手・つくり手の声interview

2021.09.02

人の見える住まいづくり

渡辺建築|渡辺伸也

−渡邉 飯田さんの建築をかたちにするのは、正直面倒。サッシの高さが1cm違えばダメだし、ビスを留める位置まで図面で指定されている。でもそれら全てに意図があるから、見逃すわけにはいかないですよね。でも、こういう仕事はやりたくてもなかなかない。できあがったときには大変な達成感があります。

−飯田 住宅ー棟あたり150枚以上の図而がありますもんね。詳細まで図面にするのは、僕からすると当然のこと。ディテールにこそ建築・デザインの本質があるから、そこを現場任せにする事は無責任だと思うんです。

−渡辺 一般的な住宅なら僕は平面図さえあれば作り上げる自信があるけれど、飯田さんの建築は詳細図がないと絶対に無理ですね。図面も1日2日じゃ解読できない。

−飯田 渡邉さんの建築に対する姿勢は本当にすばらしいと思います。使命感と興味を持って図面を読み解こうとしてくれる姿に、単に仕事としてこなしているだけじゃないな、意志が共有できているな、と感じます。

−渡邉 間取りには口出ししないけれど、納まりには口を出すもんね。例えば建具が内開きか外開きかで住んでからの暮らしやすさが全く変わってくる。飯田さんが気づいていなくて、僕が気づくところもあるから、それは全部図面の段階で伝えています。

−飯田 建築家−大工、だけの関係じゃないですよね。言いたいことも言えるし、僕が間違っているところはちゃんと指摘してくれる。ただ図面通りに仕上げればよいとは微塵も思っていない。こういう関係で仕事ができるってなかなかないことだと思っています。

−渡邉 そうですね。飯田さんの面倒な建築を受けてくれる大工はそういないんじゃないですか?(笑)

  • −飯田 確かに絶滅危具種(笑)。この扇垂木を住宅でやりたいと言ったときも、渡邉さんは、いいよ面白そう、とすんなり受けてくれましたもんね。やったことないからわからない、で終わらせるのではなく、どうすればできるのかを一緒に考えてやってくれるというのは本当にありがたい。

−渡邉 僕が扇垂木を教えてくれる人がいないとできないよ、と言ったから飯田さんは超熟錬の棟梁を探して連れてきてくれた。この年になって弟子人りして一から教わるというのは貴重な経験だから、僕自身随分レベルアップさせてもらったと思いますす。この家は本当に苦労した…でも完成した家を眺めたとき、これ本当に自分がやったのかな?と思えるほどの出来映えで感動しました。

−飯田 住まい手さんも、僕も、渡邉さんにとっても、自慢できる家ができあがりましたね。

−渡邉 飯田さんの建築は、自分の息子に「これは俺がつくった」と….言いたくなる家なんです。つまらない仕事はしたくない。

−飯田 渡邉さんはプライドを持って僕の建築に臨んでくれていますよ。誰のためにこの仕事をするのか…まずは依頼主である僕らのため、そしてその先には住まい手さんがいるということもちゃんとわかってくれています。

−渡邉 一生ものの家をつくるわけだから、よりよくして喜んでもらいたい、という気持ちは自然に強くなる。現場に入ってきたお客さんが「わーすごい!」ってい嬉しそうな表情をしているのを見ると、こちらも嬉しくなります。

−飯田 みなさん現場を見て「わくわくしかない」と表現されます。図而で説明してもピンときていなかった部分が、実際に現場を見ると分かるんです。住まい手さんにもこの人がつくってくれたという実感を持ってほしいし、住まいができあがつていく過程を楽しんでもらいたいから、可能な限り現場に足を運んで、とお顧いしています。

−渡邉 職人は寡黙な人というイメージもあるけれど、僕はお客さんと話したいし、わからないことは何でも聞いてほしいです。

−飯田 住まい手さん、僕と職人さんは三位一体のチームですから。

−渡邉 チームといえば…飯田さんの設計は、職人の気持ちをわかってくれているなぁと感じます。材料の無駄や不必要な作業が発生しないんですよね・

−飯田 僕は元々現場サイドの人間だから、建てる職人さんたちのことも念頭に置いた状態で図而を描いています。設計だけではただの線引き、ものづくりだとは思っていないんです。うちは工務店だけれど、設計事務所レベルの設計をしたいし、施工も高いレベルで仕上げたい。建築が好きだからすぺてに携わりたいんですよ。

−渡邉 現場に来たお客さんと話していると、飯山さんに絶対的な信頼を得せているのがわかります。

−飯田 僕の建築の見学会には、これから建てる人だけでなく、お引き渡しの済んだ住まい手さんたちも「飯田君、次はどんなの作ったのかな?」と見に来てくださいます。ここよくなったねーなんて感想をくださった後、最後にはやっばりうちが一番だね、という言葉を残して帰られます。「このご家族のための住まい」をチームで作っていくこと…これまでもこれからも、僕が大切にしたいことです。