2025.09.03
夏耕冬読

設計コンセプト
設計の手始めは「地に倣う」が始まり。
大地に逆らわず、土の声を聞き、木々に耳を澄まし、小川のせせらぎに癒され、その場に身をおいたとき、素直な設計とは何かと自身に問いかけた結果をご提案いたします。
木と川のありのままの姿を極力残したい結果にて「くの字」に折れるアウトラインとなり、ガレージの位置は車道と積載車と転回サイズを考慮したヴォリューム、それらを歩行の動線で結んだ必要かつ最小限で最大限有効な建築ヴォリュームとして検討いたしました。
この住宅は残された人生を最大限豊かに想像する限定された個人の空間ではあるものの、スクラップアンドビルドにあらず、むしろ住み継ぎたくなるような、ある種の汎用性を併せ持った住宅になるように思います。自然と争わず共生し、まるで以前からこの建築が存在していたかのような、人間の営みを支えてくれることとなるでしょう。
新築時は踏み荒らしてしまうかもしれませんが、自然の力にてまた元に戻りつつ、しかし建築は変わらずそこに鎮座するものでありますが、それにおいて違和感のない将来性を担保してこの設計案をご提案させていただきます。

設計ディテール
設計の全容として、緑豊かな外部をいかに内部に取り込めるかのイメージを皮切りに、開きつつも程よく閉じ、籠りと開放感を調整できる空間を目指しました。
外部はあえて質素なイメージをもつ板金屋根としつつも、その葺き方において堅実性が伺え、外壁は鹿児島の火山灰を使用したそとん壁で自然との調和を図ります。
またご所望されているファイヤースペースを中心とした広めの屋外デッキが大地との距離感を身直に捉え、シェルターの役目を果たしつつも土着的な建築を目指しました。
内部は躯体の骨格を感じられるような木組みを表し、漆喰(もしくは珪藻土)にてバウンドされた光が内部を照らす、剛健な見た目をしつつも柔らかな表情も併せ持つ空間を想像します。
玄関はガレージからの最短距離で配置し、軒下を深く残すことで雨天時に配慮し日常のストレスを軽減。
客間となる和室はあえて生活動線と切り離し、住まい手さんにとっては非日常空間となる静の空間として、北西に目線の低い開口を設け落ち着きのある内装の設えを検討しており、またお客様が気兼ねなくお泊りいただける静かな空間と誂えました。
LDKは約30畳(100㎡)ほどの広さを確保し、将来鎮座するグランドピアノとお持ちのダイニングテーブルのサイズ、薪ストーブとの距離感を基調にしたサイズ感となっております。
開口は内部が広がりつつ外部をも取り込んだ奥行きと抜け感を意識し、閉じるところと開けるところ、陰と陽の程よいバランスとなるヴォリューム感となっております。
キッチンはオープンな印象を与えつつも、調理に集中できる程よい籠り感を得られ、大人数でのパーティーにおいても対応出来る大きめなカウンターを備えた空間として設えました。
寝室と書斎は活動可能と収納ヴォリュームにおいて必要最小限にて十分なサイズを確保しており、それらの距離から最短にて水回りを配し、家事動線も最小限の移動距離となるよう意識しております。
収納計画の全容は1箇所の大ヴォリュームよりも、必要なところに必要なヴォリュームを確保し、また持ち家具の配置も設計段階から意識し、置かされた感のないそこにあるべき姿を得られるよう配しました。

9月より着工し、来年6月ごろの竣工を目指します。
飯田拝
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