手間を楽しむ家
設計コンセプト
山の地形に沿って造成された住宅街に建つ若夫婦のための住まい。そのメインストリート沿いにより町の人から目に入りやすいため、日常の風景を邪魔せず、且つ、四季の移ろいを感じていただけるような存在感になることを願い、2台分の駐車場の屋根が伸びやかにラインを引き、通りに倣った従順さと申しましょうか、町に逆らわない姿勢を見せることで馴染みの良さを狙った佇まいとしました。
外部環境
住居部はちょっと背の高い平屋風とし、屋根は緩めの切妻、外壁は杉板張、ちょこんと伸びる薪ストーブの煙突により愛らしくなりましたが、大胆にもLDKが全て吹き抜けているため、26坪の床面積の割にはヴォリューム感を感じるかもしれません。
南面の掃き出し窓とその上部の吹き抜け窓は中心部からシンメトリーとすることで、駐車場と住居の直角による安定感の調整に一役買います。道路に面した東面の窓は最小限に抑え壁面を多く見せることで、町との程よい距離感の間合いを保ちます。
色とりどりの住宅が建ち並ぶためあまり主張していませんが、それでもなお確かな存在感「THE・木の家」の押し出しがある外観でまとめました。
内部環境
LDKが全て吹き抜けた、COMODOでは類を見ない縦伸び感。天井が低い美徳を捨てたわけではありません笑。薪ストーブの存在が大きく影響を受け、温熱環境に伴う見えない空気の流れを配慮した結果となります。自然の重力換気では限界があるため、アローファンによる促しも忘れなく。
薪ストーブの鎮座が印象的なため長方形のシンプルなLDKの配置ですが、家具などでどこはかとなく雁行させることで、目線の抜け感を吹き抜けによる縦方向の意識から横斜めになるよう操作しています。調理・洗濯・お風呂などを集約した家事楽動線ですが、1階完結型で2階は子供室のみのため、洗面脱衣室の横にファミリークローゼットを接続することで洗濯物の移動を最小限に抑え、よりスムースな動線となることでしょう。
性能表示
基礎|ポリスチレンフォーム断熱材2種 t60
壁 |高性能グラスウール/105mm/16kg/㎡
天井|セルローズファイバー /250mm/25kg/㎡
開口|LIXILハイブリッド窓TW(一部木製造作)
UA値|0.38W/㎡・K (5地域 / 等級4)
C値 |0.4c㎡/㎡
空調|薪ストーブ×床下エアコン×壁掛ルームエアコン
換気|第1種(熱交換型)
建築地 | 栃木県芳賀郡 |
構造 | 木造2階建 |
施工期間 | 2024.01〜2024.07 |
延床面積 | 86.9㎡(26.2坪) |